2021年『ウッドショック』で住宅市場に大影響?ウッドショックの影響と原因を解説

皆さんこんにちは。
元住宅営業マンのyasuです。
今回はニュースで話題になっている「ウッドショック」について解説をいたします。
以下に当てはまる方はぜひ本記事をご参考にしてみてください!
・ウッドショックとは何か知りたい方
・ウッドショックの原因と対策を知りたい方
・戸建て住宅市場への影響を知りたい方
・これから注文住宅を建てる方/検討中の方
目次
ウッドショックとは何か?

「ウッドショック」とは木材の供給不足の状態のことをいいます。
皆さん馴染みがあるのはオイルショックかと思いますが、まさにオイルショックならぬ「ウッド」ショックという訳です。
2021年現在のウッドショックは、主にアメリカの戸建て住宅の着工数増加を受けて木材の需要が増加し、日本へ出荷される材木量の低下を受けて深刻な木材不足を引き起こしています。
総務省のH30年の統計によると、日本は一戸建のうち木造(防火木造を含む。)の割合が92.5%となっており,一戸建全体の9割以上を占めていることからウッドショック(木材不足)の影響を受けやすい国といえます。
また日本のH30年の木材自給率は32.4%となっており、木材の約7割を輸入に頼っていることから、遠くアメリカの地で起きている影響が日本に波及してきています。
木材価格はどのくらい上昇しているのか
「木材先物価格」を見ると、20年5月1日は327.00ドルでしたが、21年4月30日は1502.30ドルとこの1年で約5倍に価格が上昇し、かつてない異常事態だと言われています。
ちなみに21年4月1日の時点では1012.60ドルでしたので、この1ヵ月でも約1.5倍に価格が上昇したことになります。
直近1年のチャートは以下の通りとなっており、ここ1年で急激に価格が上昇していることが分かります。

これだけ価格が上昇しているので、木材を輸入に頼っている日本においてもウッドショックが発生するのは必然といえます。
ウッドショックが発生した理由
深刻な木材不足により影響が波及しているウッドショックですが、主な原因は3つあると言われています。
ウッドショックの原因
①アメリカの住宅需要の高まり

ウッドショックの引き金となったのはアメリカにおける住宅需要の高まりです。
アメリカでは新型コロナウイルスの影響によりリモートワークが増加、郊外を中心に一戸建ての需要が高まっています。
また経済対策として住宅ローンの金利引き下げに伴い、さらに住宅購入者の増加に拍車をかけている状態になっています。
ちなみに本土から離れたハワイでさえ、住宅購入の需要が高まっており、新型コロナウイルスの影響で観光業は不況にも関わらず、不動産業はかなり活況のようです。
これらの状況からアメリカでは木材需要が高まっており、日本への輸出量が減少している状態となっています。
ちなみに日本でも戸建て住宅の重要は増加しており、リモートワークにより郊外の土地に人気が集まっているようです。
つまりアメリカを中心に、各国で戸建て住宅の需要が高まっていることから木材の供給不足が発生していることになります。
ウッドショックの原因
②世界的なコンテナ不足

輸送に利用されるコンテナが不足していることも木材の輸入量減少や価格高騰に繋がっています。
新型コロナウイルスの影響により2020年1~6月には世界的に貿易が停滞し、当初はコンテナに余力がある状態でしたが、その後作業員やドライバーの人手不足などにより港にコンテナが滞留。
しかも世界中で起きている「巣ごもり需要」によりネットショッピングの増加を受けてコンテナの需要は高まり、輸送費の価格高騰にも繋がっています。
ちなみに下表のとおり、ここ1年でコンテナの運賃は3~4倍に増加しています。

コンテナ不足で木材を輸入することができない他、輸入できたとしても輸送費がアップしているので価格の高い木材を買わざるを得ない状況がハウスメーカーで発生しています。
ちなみに輸送用コンテナの9割が中国で生産されており、日本にはコンテナの製造会社が極めて少ないことから、解決までは時間がかかると想定されています。
ウッドショックの原因
③新型コロナワクチン接種による景気回復の期待

アメリカでは新型コロナウイルスのワクチン接種済みの人数が2021年5月には1億430万人を超えました。
徐々に経済活動が再開しており、ワクチン接種者の増加を受けてアメリカの株価も堅調に推移をしています。
これらの状況から景気回復への期待感が高まり、さらなる需要増を見越して木材価格が高騰していることもウッドショックの要因に挙げられます。
ウッドショックは過去に2回発生していた!
実はウッドショックは初めてのことではなく、過去に2回も発生したことがあります。
1回目は90年代に発生。アメリカでフクロウなどの野生動物の保護のため森林伐採の規制が進み、深刻な木材の供給不足になりました。
そして2回目は2008年のリーマン・ショック前に発生。当時のアメリカでは好景気による住宅建設ラッシュとなり、木材の価格が上昇しました。
ですので、今回のウッドショックは3回目となります。
いずれもアメリカで起きた出来事が日本に影響しており、いかに日本は木材を輸入に頼っているのかがよく分かります。
ウッドショックで住宅市場への影響が出ている!
ウッドショックによって、既に日本の住宅市場にも大きな影響がでています。
首都圏を中心に注文住宅を手掛けるオープンハウスでは、リモートワークの増加などのライフスタイルの変化を受けて契約数は増加し、客の数は1.5倍になったそうです。
ただしウッドショックの影響により木材の価格は3割上昇し、オープンハウスは6月から木材の種類を変更することを視野に入れているようです。
また中小の住宅会社では木材不足により着工時期の遅れが発生し、顧客とトラブルが生じているなど日本の住宅市場にも大きな影響がでています。
注文住宅を建てる際の注意点とは?
ウッドショックを受けて、これから注文住宅を建てる方は注意が必要になります。
特に中小の工務店では、顧客から支払いを受けた建物金額をそのまま運転資金に回していることが多く、工期遅れに伴い建物金額の入金も延期され、業務上の運転資金が不足する可能性があります。
簡単に言うと、最悪の場合は「倒産」するリスクがあるということです。
もちろんどんな会社にも倒産するリスクはありますので、ウッドショックに限ったことではありませんが、これから契約を控えている方は以下の内容は最低限確認をしておいた方が良いです。
①ウッドショックの影響の有無
②万一ウッドショックにより工期が延期された場合の対応
③建築する会社が活況かどうか(今着工数や契約数は増えてますか?などの簡単な質問で良いと思います)
現在ウッドショックの心配がない場合でも、今後先行きが不透明な状況が続くことが予想されますので、万一工期が延期した場合についての対応は確認しておきましょう!
特に工期が延長されると現在の住まいの家賃や賃貸の場合は更新料が発生するケースがあります。
その場合の補償はどこまでしてくれるのかは非常に重要になりますのでお忘れなく!
また万一建築会社が倒産した場合には「住宅完成保証制度」という保証制度も存在します。
工事の途中で建築会社が倒産した場合に別の会社が工事を引き継ぎ、確実に引き渡しまで履行するための制度ですが、この制度は建築会社の責任で加入するものです。
こちらも万一のための確認ということで、保証制度についても聞いておいた方が良いと思います。
一生に一度の大きな買い物になりますので、「確認のし過ぎ」ということはありません!
後悔のないように、なるべく契約前に確認をしてくださいね。
皆さんの家づくりが素敵なものになるよう応援しています!
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